高速道路と税金と公平
2002年12月30日
2003年度一般会計予算の国債依存度は44・6%と過去最悪になった現在でも、「外国では高速道路は税金で賄っていて、無料だ!日本も無料にせよ」と族議員と、それに同調するマスコミは喚きます。
こんな輩が蔓延ってしまう日本には、未来があるのでしょうか?
日本を滅ぼさんとしている族議員達は「外国(特にアメリカ)は、高速道路は税金で賄っていて、通行料は無料である」と喚いていますが、インターネット(TTS Road Explorer)を見ますと、次のような記述に驚かされます。
アメリカの有料道路の実態
日本ではよく「アメリカの高速道路は無料」という言い方がされる。確かに西部などではインターステイト・ハイウェイを何千キロ走っても無料である。アメリカの高速道路(インターステイト・ハイウェイ網と都市部のフリーウェイ・エクスプレスウェイを足したもの)の総延長は89,394kmで、そのうち有料道路は総延長5,713kmである。高速道路の総延長に占める有料道路の割合ではわずか6.4%にすぎず、アメリカの高速道路政策が無料を前提にしていることには異論はない。
かと言って、アメリカにおける有料道路を例外的な存在として片づけてしまうわけにもいかない。絶対数として総延長5,700kmあまりの有料道路があるというのは、アメリカ以外の国ではそれだけで国の根幹を成す高速道路網が出来上がってしまう数字である。日本の高速道路は2002年には総延長が7,000kmを突破したが、5,700kmに近い数字を探すと、1995年時点での総延長5,677kmという数字が出てくる。ここで言いたいのは、これだけの規模の有料道路が存在するということは、アメリカにも当然有料道路の経営、資金調達・償還のノウハウがあり、また、有料道路をめぐる政策論争も蓄積されてきただろうということである。
またアメリカらしいのは、州によって状況が全く異なるということだ。
例えばニューヨーク州では州内の主要都市間をニューヨーク・ステイト・スルーウェイ New York State Thruwayという有料道路が結んでいるが、これがそのままインターステイト・ハイウェイ網に組み込まれている(I-87,90)。そのため州内のインターステイト・ハイウェイの総延長1,668milesに対して、有料道路は673milesを占め、実に高速道路網の40%が有料道路だ。
マサチューセッツ州でも州を横断するI-90はマサチューセッツ・ターンパイクという有料道路になっていて、州内のインターステイト・ハイウェイの総延長に占める有料道路の割合が24%を占める。
ニュージャージー州でも同様に北東回廊の基幹路線であるI-95の大部分がニュージャージー・ターンパイクになっていて、有料道路の割合は23%となる。ニュージャージー州の場合はインターステイト・ハイウェイに組み込まれていないがガーデン・ステイト・パークウェイという有料道路があり、海岸部を南北に走って重要な交通路になっている。ガーデン・ステイト・パークウェイの173milesを加えると、主要幹線道路に占める有料道路の割合は45%になる。この45%という数字は、ニュージャージーの州民にとってかなり実感に近い。ついでながら、ニュージャージー州とペンシルヴァニア州との州境をデラウェア川が流れているがここに架かる橋は全て有料になっている。ハドソン川をはさんで接するニューヨーク市に通じる橋やトンネルも全て有料である。つまり、ニュージャージー州から出るにはお金を払わなければ出られないようになっている(例外は陸続きのニューヨーク州へ通じる道だけ)。州民にとって有料道路は当たり前なのである。
実際問題として、東部では都市間を移動しようとすれば必ず一度は有料道路を使わざるを得ない。先述の、ニューヨーク・ステイト・スルーウェイ、マサチューセッツ・ターンパイク、ニュージャージーはいずれも基幹路線だし、その他にもフィラデルフィアからピッツバーグやクリーヴランドを経てシカゴまで3つの有料道路(I-76,80,90)が切れ目なく結んでいる(総延長870マイル)という具合である。
他に、フロリダ州やオクラホマ州でも有料道路の割合が高い。
ただし、アメリカの有料道路は通行料金が安く400キロほど走っても5、6ドルである。また、マサチューセッツ・ターンパイクでは乗用車は隣接する2〜3の出口までは無料である(料金所で通行券を渡すだけでよい)。日本の高速道路とは比較にならないくらいの安さである。ニューヨークのマンハッタンへ出入りする橋やトンネルは、さすがに東京の首都高速ぐらいの通行料を取るが(ただし都心部へはいるときのみの徴収なので往復すると通過1回あたりの料金は半額相当になる)、ニューヨークからニューヨーク州のオルバニーまで(約400km)の通行料が100ドルというと暴動が起きるだろう。
(下線太字処理は私が施しました)
何故この事実に「道路族達」は、目を瞑っているのでしょうか!?
更には、日本自動車連盟(JAF)http://www.jaf.or.jp/には、次の記述があります。
アメリカの高速道路
どうなる高速道路---興味深いアメリカの動き
高速道路の先進国であるアメリカで続々とフリーウェイが壊されている。『JAFメイト』12月号によると、オレゴン州では川沿いに走っていたフリーウェイを取り壊し、ウォーターフロント公園を作った。
またサンフランシスコでは1989年の大地震で大破した2階建てフリーウェイを壊し、街路樹や自転車走行レーン、市電を走らせる大通りに変えた。このほか、ウィスコンシン州やテキサス州でもフリーウェイを取り壊し、地元密着の大通りや広大な公園に変えようとしている。
アメリカの高速道路は開通から40〜50年を迎え、構造物としての寿命が近づいている。アメリカで始まった“脱フリーウェイ”の試みは、同国をお手本にして成長してきた日本の将来像と言えるかも…。
《畑山直人》[2001年11月16日]
(下線太字処理は私が施しました)
ここには、「アメリカでは、“脱フリーウェイ”の試みが始まっている」と言うのに、何故借金大国の日本は、税金を投入してまでも高速道路を造るのですか?
そして、先のインターネット(TTS Road Explorer)には、アメリカの高速道路の成り立ちも紹介されています。
アメリカのハイウェイ網の歴史(History of US
Highway System)
アメリカの道路政策とハイウェイ網の成立史を理解するには、(1)州と連邦政府の関わり合い、(2)ナショナル(全米的)な道路網の形成、(3)有料道路の3つの観点が欠かせない。
まず、州と連邦政府との関わりだが、連邦制をとるアメリカ合衆国では内政に属する道路行政は基本的に州の管轄とされている。
その一方で、連邦政府の立場からは、国土を統一して国の隅々まで国家の政策を推し進めていくための手段として全国的な道路網が必要になる。実際には、連邦政府はその権限とされた郵便事業(郵便を配達するために道路が必要だという主張で、合衆国憲法第8条7項に連邦議会の権限として郵便局と郵便道路の建設が明記されている)と国防(軍用道路、また戦時中の輸送体制確立のための道路)を大義名分として、州の道路建設に補助金を出すことによって道路行政にも口を出そうとしてきた。……
アメリカの道路行政史は州と連邦との関わりを抜きにしては語ることが出来ない。……
自動車の普及と性能向上により長距離の移動が増えると、道路の改良と全国的な道路網の整備を求める声が高まった。……
1916年に連邦補助法が成立するがこの法律では州を越えて連邦補助道路同士を接続することを義務づけていなかったために、連邦の補助金で整備された道路が細切れ状態となってしまった。そのため「補助金をばらまいただけ」と批判された。
この反省を受けて1921年の連邦補助法では、各州の道路総延長の7%までを連邦補助道路として認めるとともに、連邦補助道路の7分の3(各州の道路総延長の3%)を州と州とを結ぶ道路に振り分けさらにここに補助金の60%までを集中させることが出来るようにした。……
一方で、国防の観点から全国的な道路網整備の要望も高まった。1914年から始まった第一次世界大戦はアメリカにとっては対岸の火事であったが、ヨーロッパに代わってアメリカが世界の工場として生産活動を増大させることになり、そのために当時の主要な輸送手段であった鉄道の輸送力が限界に達してしまった。こうした国内の輸送状況に危機感を持ったのが陸軍で、1919年に自動車部隊を編成してワシントンDCからサンフランシスコまでリンカーン・ハイウェイを使って大陸横断の演習を行なった。この時の自動車部隊は、行く先々で道路改良運動を盛り上げる役割を果たした。後にインターステイト・ハイウェイ網を作り上げたアイゼウハワー大統領が中佐(Lieutenant
Colonel)として参加していたのは、奇遇である。
1920年にはバンクヘッド・ハイウェイをたどる第2次大陸横断自動車部隊が派遣されている。
ワシントンDCのホワイトハウス前には0マイルストーンが置かれているが、これは道路の起点というよりは、むしろこの2回の自動車部隊が出発した起点を記念するモニュメントである。自動車部隊の出発点となった旨が0マイルストーンに刻んである。
1922年には、陸軍のパーシングが戦時下における最重要道路を示した地図(パーシング・マップ)を制作している。
こうした道路網整備の機運を受けて、1925年にUSハイウェイ網の策定された。連邦農務省とAASHOの合同委員会が出したこの全国的な道路網は、初めて全国的な道路体系を示した画期的なものであった。それまで民間の各種トレイル協会が独自に整備したトレイル(街道)を、数字によるルートの識別に置き換えたという意味でも重要な出来事となった。
1941年12月8日アメリカ・ハワイ真珠湾が日本軍の攻撃を受けると、制海権の維持が危ぶまれたアメリカは、日本軍がアラスカに侵攻してきたときに備えて、カナダ領内を通りアメリカ本土とアラスカを結ぶ自動車道の建設を行なう。3月にカナダとの調整がつき、年内の11月には総延長2200キロメートルの道路が完成した。また未完成に終わったがパナマ運河防衛のために中米の道路整備も行なおうとした。 ……
1944年、また太平洋での戦争は続いていたが、アメリカは「戦後」に向けての準備を着々と進めていた。道路行政についていえば、この年、連邦ハイウェイ補助法が成立して、インターステイト・ハイウェイの建設を承認する。これが現在のインターステイト・ハイウェイ網となる。以後AASHO、各州、陸軍などと計画路線について調整が進められことになるが、この法律では具体的な予算措置は盛り込まれておらず、このままでは画餅に帰したままであった。
インターステイト・ハイウェイは当時のアメリカが抱える道路問題を解決すべく計画された。
そのひとつが、大戦中から言われていた国防のための道路網の整備である。左の写真は、1950年代にフィラデルフィア市の近郊で見られた有事の際の規制予告である。「フィラデルフィアが敵襲にあった場合には民兵と軍用車両を除いて通行禁止」との旨書いてある。
アメリカの1950年代は、第二次世界大戦後の開放感とは裏腹に、準戦時体制だったことがわかる。インターステイト・ハイウェイ網は戦前戦中に策定された国防道路計画を引き継いだが、それは単に大規模な事業の持つ「惰性」でなくて、当時の時代背景そのものが真剣に国防のための道路を求めていたことを理解しなければならない。
……
もうひとつの問題点が、相変わらず州毎にばらばらな道路政策、とりわけ道路交通に関する規制を統一することであった。この問題は、大戦中に顕在化し、トラックの総重量、軸重、車両長などに関する規制が州毎に異なっていたために全国的な物資輸送の際に不経済が生じていた。……
インターステイト・ハイウェイ網は単に全国に道路を整備するのではなく、こうした州毎に違う規制を統一して、全国的な道路交通・道路輸送を確立するための道路という明確な目的を持っていた。言い換えるならば、アメリカにおいてナショナルな道路網というのはインターステイト・ハイウェイ網の完成をもって初めて実現するのである。
実際にインターステイト・ハイウェイの建設が本格化するのは、1956年に連邦補助ハイウェイ法(Federal-Aid Highway Act of
1956)が成立してからである。この法律は道路利用者が支払った連邦への税金を全額道路整備に振り向けることを定めていて、インターステイト・ハイウェイ網建設の財源的な裏付けをしたことで評価されている。だが、同様に道路利用者が支払う州税については1934年のヘイゲン・カートライト法で道路整備のための目的税化を求めていて(目的税化しない州に対しては、道路整備のための連邦補助を取りやめる)、ようやく連邦レベルでの目的税化がなされたことになる。
飛行機網の発達したアメリカでは、高速道路の軍用道路はお役御免という事と存じます。
重厚長大産業が終わりを告げた日本で、将来どのような産業に高速道路が必要とされるのでしょうか?
「ICアイランド」とも言われる九州と東京との半導体又その部品など(何しろ軽量小型ですから)の輸送は自動車よりも飛行機が便利です。
世界にも顔向けの出来ないお粗末だった前首相の森氏は“日本海沿いには、外国が攻めてきた際の物資運搬道路になる高速道路が必要だ”と得意になっていましたが、ミサイルか何かを、そんな高速道路も橋やトンネルに先制攻撃を受けたら、それこそ無用の長物です。
腐りきった彼等は“一般道路は税金で建設して、無料なのだから、高速道路も同様に税金で建設し、且つ、高速道路は産業の重要なインフラでもあるから無料にすべし”と喚ています。
更に、“九州には西側だけに高速道路が存在していて、東側には無いのは不公平だ、税金を投入してでも高速道路を建設すべし!”と「道路族」の江藤隆美議員は偉そうな顔をテレビに露出します。
国の財源が無限にあるならいざ知らず、借金どぶ漬かりの今、国民に対する政治の公平とは何か?をしっかり考え直してもらいたいものです。
私は、東京に住んでいますが、普段全くと言ってよいほど高速道路は使いません。
国が多額の借金をしてまで、九州の東側に高速道路を建設しても、その地方の住民のどの程度の方がその恩恵に与るのでしょうか?
(そして、同じお金を使うならもっと違うものに使ってくれと思われる人が多いのではありませんか)
“そんな事言っても、高速道路は社会的なインフラなのだから、直接的恩恵はともかく、日常的に間接的に高速道路から多大の恩恵を受けて居るのだ”と噛み付いて来られるでしょう。
では、誰でも日常使って、産業の重要なインフラである電気やガスも税金で建設等を賄い、使用量も無料にするのですか?
企業の電気、ガスの使用量は国民一人一人の使用量とは全く比較になりません。
それでも、“企業活動の結果その成果を国民が受け取っているのだから、電気、ガス、それに水道の利用も無料にする!”のが国民への公平ですか?
利用者負担が一番の公平では有りませんか!
その為には、高速道路は有料であるべきです。
そして、これからはインターネットの時代(ITの時代)でしょう。
(「イットの時代」等と発言する何処かのバカが居た為かで出しは躓きましたが)
インターネット網を税金で敷設していたら、今の発展はありましたか?
NTTが独占していたらどうでしょうか?
NTTの前身の「電電公社」が行っていたら?
明らかに、ヤフーなどの民間企業の存在があったからこそ、インターネット社会が現状に到達出来ているのではないですか!
高速道路だって、郵便だって早急に民営化すべきです。
なのに“物書きや、学者に政治がわかってたまるものか、政治は政治家に任せて置け!”と「道路族」のインチキ政治家達がほざきます。
しかし、彼らこそが、日本を借金漬けにしまった張本人ではありませんか。
インチキ政治家達には即刻退場して貰わなくては困るのです。
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